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はじめに
このAOC-86とAOC-119はどちらも私がデザインした靴です。2017年7月に着想、2018年4月にAOC-86が作られ、2020年3月にAOC-119が作られました。どちらも、オールデンでは作られた事のないモデルであり、そして、未だにAOCでしか購入出来ないモデルです。
AOC-86が出来たきっかけ
私が最初にデザインした靴はチョコレートスエードのサドルUitpシューズ(AOC-81)でした(AOC-81)。でもこの靴は、過去に販売された靴の仕様のマイナーチェンジでした。(※AOC-81は2018年のAOCベストセラーでしたヾ(*´∀`*)ノ)
次のデザインはオールデンが今までに作った事のないモデルにチャレンジしたいと思い、グーグルやインスタなどからデザインの参考になる画像を探していたところ、1枚の靴に目が止まりました。

この靴は、日本で販売されているトゥルーバランスラストのインディオックスフォードです。この靴自体は珍しいものではありません。でも、通常はトゥルーバランスラストだと、つま先にボリュームがあるため、ふっくらした印象になりますが、この靴はCウィズなのでそのような印象がありません。そして、土踏まずのクビレがスッキリみせてます。
こんな感じの靴を作りたいな。。。
これがAOC-86のデザインを思いついたきっかけです。
チャレンジングなオールデン史上初のデザイン
早速見つけたインディオックスフォードの靴を参考にデザインしてみました。実は最初にアダムに提案した時はトゥルーバランスラストで、レザーをBrown Regina Grainに変えたのみでした。でも、アダムと何度もやりとりをしているうち、ラストをバリーに変えてみました。そして、史上初のデザインが沢山出来ました(以下は私が調べた限りでの判断です。そのため、もしかすると史上初ではないかもしれません。。。)
その1:バリーラストとストームウェルトの組み合わせ

その2:バリーラストとインディオックスフォード(プレーンなUtip)のデザイン

その3:バリーラストとトーマスヒール

バリーラストとの組み合わせが、何故こんなにも新たな組み合わせになるのかというと、通常オールデンでは、バリーラストはLWBとプレーントゥに使われる所謂王道のラストであり、他の組み合わせはあまりなかったためです。そのため、これらが上手くいくか分かりませんでしたが提案してみました。
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また、何故これらが上手くいくかわからないチャレンジングな提案になるかというと、オールデンのデザインを考える中で重要なのは、
・過去に作られた事があるか
・その組み合わせはオールデンがOKを出すか
です。今までに作られた事がない組み合わせを思いついたからといって、オールデンはその仕様に対してOKを出す訳ではありません。オールデンにしか分からない基準・事情があります。また、アダムとのやり取りの中で、オールデンがOKを出しそうな基準を提案しない限り、アダムはオールデンに確認してくれません。それを例えるならば、100m先から針に糸を通すような事だと思ってます(20数年オールデンリテーラーとしてやっている方なので、当たり前ですよね)。そのため、オールデン史上初の組み合わせを提案する事は、私にとっては冒険でした。
そして、何度も微調整をしつつ、このチャレンジはオールデンに受け入れられて、2017年7月に何とか事前注文まで漕ぎつける事ができました。
実はレザーが違ったAOC-86
前述の通り、実はオールデンにオーダーした時のレザーはRegina Grainでした。でも、2018年に出来上がった時はAlpine Grainでした。Reginaの方が荒く、Alpineの方が細かいシボ革です。その理由をアダムに確認したら、オールデンが間違ったとの事でした(;^_^A
でも、それが結果的には上手く作用しました。

この出来上がったAOC-86をみて、全てが上手く作用したと思いました。
そして、カラー8コードバンのAOC-119へ
やっぱり、オールデンだからカラー8のコードバンで作りたいんです。これが本音です。
でも、アダムはいきなりカラー8コードバンのOKを出しません。「カラー8のコードバンは割り当てが限られてるんだよ。だから、そんな簡単には作れない。」って言われます。売れないモデルで貴重なカラー8のコードバンを使う事を普通はしませんよね。
なので、AOC-86オーダーから約3年かかりました。このモデルのカラー8コードバンの許可をもらうのに。。。

でも、本当に待ったかいがありました。
オールデンだから手に入れる事が出来るこの艶、輝きっ!
シンプルなUtipを支える気品のあるストームウェルト!
上品に魅せるシングルソール!
こうして、私の約3年間のこだわりは実を結びました。
まとめ
オールデンのデザインという素人が手を出してはいけない領域に手を出すと、満足いくまで3年かかります(;^_^A
でも、それだけの期間をかけて、作り上げたモデルは一生ものだと思います!!

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